三つの幻想曲

 

 また随分と古臭い曲を書いたものだと苦笑しながら譜面を眺める。先祖返りでもしたのかい?いや、返る先祖などあるものか。ともかくこれこそが書きたいものだったのだと大きく頷くだけだ。空虚五度の響きから湧き上がってくるような旋律。その広い空間を暗示するような響きの中を、風が大きく吹き抜ける。

 

 ところでウクライナ?そうさ、ずっと昔、まだガキだった頃に観た映画、無限に広がるひまわり畑、そこに咲き誇るひまわりを、いや画面そのものをも揺さぶり続ける風。その鮮烈な映像を私なりの音で表したい、そう長いこと思い続けていたのだ。

 

 これでひとまずは安心したのか、それともまた新たにその広い空間を埋めるための音を書き続けてゆくのか。ともあれ私の「古臭い舌足らず」を、譜面という商品にして下さった谷憲司さん、サンプル音源の制作を快く引き受けて下さった棚町幸則さん、打越山修多さん、濱手貴美子さんに心からお礼を申し上げる。

 

                                                                     2015年4月15日

         散り残ったわずかな桜花を愛でつつ

                     太田哲也

                                          初版あとがきより

※作曲者によるクラリネット、チェロ、ピアノ演奏用アレンジ版です

第一章 

ウクライナの平原を風はゆるやかに流れて

第二章 

緑の木々を、草を、花々をあまやかに揺らすその風は 時に人々を脅かすように吹き荒れる。やがて

第三章   

すべては夜の底に沈み、深い静寂に風は まどろ

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