水の流浪~センブロン河の夜(2006) 

マリンバとピアノの為の

 

 実はこの曲については極めて曖昧な思い出しかない。

私がした事といえば、演奏に立ち会った訳でもなく、書き上げた譜面を演奏者に渡しただけだった。ただ、どこか辺鄙な田舎町で演奏される事、イヴェント色の強いステージ(例えばクリスマスコンサートとかいうような)にのせるという、その二点に留意して作曲した事を憶えている。曲名に関しては、私の悪い癖で、考えるのが面倒臭くなって、その直前に書き上げた曲の続編と言う事で、同じタイトルにしてしまった。だが、筆が進むにつれてどうしてもそのタイトルでなければならないような気がしてきたのだった、などと格好を付けて言う事が出来ればいいのだが、そういう事実は全くない。

 マリンバという楽器の為に曲を書いたのは先にも後にもこの一曲だけで、その点、些か浮かれている。直接縁がなかった楽器だが、その音は子供の頃からとても好きだったのだ。はっきりとした音程を持つ打楽器は、私にとっては一つの理想の道具である。しかもその音色は、直接聴く者の内臓をもみほぐすかのように官能的だ。

 初演時のプログラムの記事を転載したかったのだが、果たしてそもそもそんなものが存在するのか、何しろ解説を書いた記憶もないのだ。ともあれ、私のパソコンのハードディスクの片隅で、孤児のように膝を抱えて蹲っているところを偶々、大掃除の途中に見つけた出されたこの曲が何故か愛おしい。

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